トランプの日米安保発言

トランプ大統領と安倍首相=5月28日、神奈川県横須賀市/Athit Perawongmetha/Pool//Getty Images

トランプ大統領と安倍首相=5月28日、神奈川県横須賀市/Athit Perawongmetha/Pool//Getty Images

 米国のトランプ大統領は26日、日米安全保障条約を不平等だとする見解を示し、もし米国が攻撃されても「日本は我々を助ける必要がない」と主張、「テレビで見るだけ」と不満をあらわにした。

トランプ大統領の日本批判は、FOXビジネスのニュース番組の中で、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に2国間貿易協定の可能性について質問された際の発言だった。G20でトランプ大統領は、安倍首相を含む各国首脳との会談を予定している。

インタビューの中でNATO批判を展開したトランプ大統領は、日米安保条約を巡って日本をやり玉に挙げ、「もし日本が攻撃されれば、我々は第3次世界大戦を戦う。我々の生命と財産をかけて」としたうえで、「我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要が全くない」「(日本は)その攻撃を、ソニーのテレビで見るだけだ」と批判した。

これに先立ちブルームバーグは、トランプ大統領日米安保条約を一方的だと見なし、破棄を検討していたと伝えた。

                          ワシントン(CNN)

 

このニュースの前、ブルームバーグが『トランプ大統領日米安保条約破棄を検討していた』という記事を発信したとき、日本の何人かの『識者』は、トランプがそんなことを言うわけないと断言してました。

しかし、トランプの言っていることは至極当然のことです。

日本の国土が攻撃されたらアメリカの兵士は命を懸けて戦うが、アメリカの国土、例えばニューヨークが攻撃されたとき日本の自衛隊はニューヨークまで行って命を懸けて戦闘してくれるのか、という疑問です。

お金さえ出せばいいというものではない、つまり生命を懸けるか懸けないか、だ。ということです。

集団的自衛権を新3要件のもとに認めたとしても、ニューヨークが他国から攻撃を受けた場合、日本の自衛隊がニューヨークまで行ってアメリカ軍とともに戦闘するのは無理でしょう。

 

この論理は確かにそうですし、アメリカにとってそのような極めて不公平な条約の上で私たち日本人は平和を謳歌してきたという現実があります。

 

さて、今ここでトランプが日米安保を持ち出してきたのは何故でしょうか。

トランプは、今まで、アメリカがいい顔し過ぎて、多くの国からたかられまくってきたと強く感じています。

日米安保条約にしてもNATOにしても、不公平極まりない、と思っています。アメリカに溢れている日本車とドイツ車を見ても、極めて不公平だと感じています。日本にはアメリカ車は全くと言っていいほど走ってないじゃないか、と思っているでしょう。NATOのせいでアメリカは欧州をロシアから命懸けで守らなければいけないし、日米安保のせいで日本を中国から命懸けで守らなければいけない。そこまでしてやってるのに、日本や欧州はアメリカに何の見返りをくれたのか。

 

トランプの今までの交渉パターンからすると、G20以降、トランプは日本車とドイツ車をやり玉にあげるはずです。日本に対しては日米安保破棄や自動車関税、自動車輸入数量制限などどれも痺れるカードを切ってくると思います。

 

メキシコの移民難民対策が十分でないことで関税で脅してきたのですから、トランプは効果的であればどのようなカードも使ってきます。論理や筋は気にしません。結果にコミットしてるのでしょうね(笑)

 

日米安保は日本にとって生命線そのものです。

これ以上に強力なカードはありません。

イラン攻撃すると言ったらこちら側につけ、イランにいい顔するんじゃない、というメッセージも込められているでしょう。

 

安倍首相は、これから今までで最もハードな交渉をしていくことになるでしょう。

                     (2019年6月27日11時30分)