香港の英国から中国への返還22年に当たる1日午後、民主派団体「民間人権陣線」が大規模デモを展開した。香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例改正案の「完全撤回」を訴え、香港島中心部を行進した。
香港では毎年、返還記念日にデモが行われ、「一国二制度」の堅持や中国共産党への批判と合わせ、時々の政治課題が取り上げられるのが恒例だ。香港政府は6月、抗議行動の高まりを受けて、改正案の審議の無期限延期を発表したが、反対派はあくまで完全撤回を要求している。
また、政府トップの林鄭月娥行政長官の引責辞任や、先月の大規模な抗議行動時に警察が催涙弾などで実力行使したことへの責任追及を求めており、反発は収まっていない。
デモに参加した女子学生(22)は「延期ではなく撤回を求める気持ちは変わっていない。でも、今は何より、社会が分裂している状況が早く終わってほしい」と話した。
【香港時事】
香港の民主化パワー、勢いは衰えてないですね。
これは本当に、香港発で、中国の体制を揺るがすようなうねりになるかもしれませんね。
今まで全く何のメッセージも発しなかった日本政府も、G20で安倍首相が習近平に少し香港のことを言ってくれましたね。日本にしては画期的なことです。
今日発売された『習近平の敗北』という本を読んでいます。読み終えましたらまた感想をここに追加していきます。
【香港=藤本欣也】中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり混乱が続く香港で、若者が立法会(議会)を一時占拠した事件は社会に衝撃を与えた。6月以降の大規模デモにより、政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官の辞任などを求めてきた民主派陣営は「環境が悪化した」と懸念を強めている。
香港中心部にある立法会。出入り口付近の分厚いガラスは大破し、若者らが突入する際に加えた力の大きさを物語っていた。
その粉々に割れたガラスを民主派の元立法会議員、李卓人氏が見つめていた。
「政府は若者らを阻止することができたのに阻止しなかった。世論の流れを変えようとしたのだろう」
李氏が指摘するのは、1日午後9時すぎ、若者らが数時間かけてようやくガラスを割り、立法会内への突入を始めたときのこと。建物内で警備に当たっていた数百人の治安部隊はなぜか屋外に撤収していた。
侵入してくる若者に対しいつものように催涙ガスを使えば阻止できたのに、なぜそうしなかったのか-との疑問は少なくない。
これについて、香港政府は「被害が拡大するのを避けた」などと説明しているが、「政府は若者らが立法会内で破壊活動を行うのを待っていた」というのが李氏ら民主派の見方だ。
また、別の疑問として浮上しているのが「なぜ一部の若者は暴発してしまったのか」という点だ。
2014年の香港民主化運動「雨傘運動」の際も、一部若者の過激な行動が市民の批判を招いた。平和的な運動の継続が市民の支持獲得に重要なことは若者も認識していたはずだった。
これについて李氏は「林鄭氏が若者たちの要求を全く聞き入れない状況に失望した末の行動だった」と説明する。
香港メディアによると、「自分は死んでもいい」と考えた若者たちが先頭に立ったという。治安部隊と衝突し自分たちが犠牲になることによって事態を打開しようとしたわけだ。
これに関し、民主派の重鎮で元立法会議員の李柱銘氏は「大きな運動があるときは共産党の人間がその中にいるものだ」と指摘し、中国共産党の工作活動である可能性も捨てていない。
民主派陣営の香港紙、蘋果日報は2日付社説で、逃亡犯条例改正案の撤回などを求める市民運動について「環境が悪化したことで持久戦の準備をしなければならない」と訴えている。
(産経新聞)
マグノリア (219.62.234.179)