安倍首相の失策と功績

北野幸伯という人が書いた記事が、私の考えとほぼ同じだったので、載せます。

 

※※※※※

 

安倍総理は、なにが偉大だったのか?

皆さんご存知と思いますが、安倍総理が8月28日、辞意を表明しました。今回は、安倍時代を振り返ってみたいと思います。

安倍総理の場合、「よかったこと」と「悪かったこと」があります。後味がいいように、まず「悪かったこと」に触れ、その後「よかったこと」を書きましょう。

安倍総理の失策

一般的には、

  • 憲法を改正できなかったこと
  • 拉致問題を解決できなかったこと
  • 北方領土問題を解決できなかったこと
  • 新型コロナ対策の失敗

などが挙がるでしょう。

もちろん、これらを批判することはできます。ですが、「拉致問題」「北方領土問題」は、誰がやっても解決はとても困難です。そもそも「返す気が全然ない相手」と交渉するのですから。ですから、この件で総理を批判する政治家さんには、「では、あなただったらどうするのですか?」と聞いてみたいです。

そして、「新型コロナ対策」の失敗。これは、確かにひどいかもしれません。しかし、世界を見ても「成功している」といえる国はわずか(NZ、台湾など)。だから、「安倍総理だけが際立ってひどい」とはいえないと思います。

私が挙げたい失策は、三つです。

まず、消費税率を2回引き上げたこと。2013年、アベノミクスで、日本経済はイケイケでした。しかし、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた。これで失速し、以後復活することはありませんでした。ちなみに2013年のGDP成長率は2%。消費税が引き上げられた2014年は、0.38%です。

2019年10月、今度は8%から10%に税率が上がりました。今、新型コロナ禍の影響で日本経済はボロボロになっています。それで見えづらくなっていますが、実をいうとコロナ禍の前から、日本経済はボロボロになっていたのです。証拠として、日経新聞2020年3月9日「19年10~12月期GDP改定値、年率7.1%減に下方修正」から。

内閣府が9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算では7.1%減だった。

二つ目の失策は、3K外国人労働者を大量に受け入れはじめたこと。安倍政権下で、日本は「世界4位の移民受け入れ大国」になったそうです。2016年時点で1位はドイツ、2位アメリカ、3位イギリス、4位日本。

私は、移民全般に反対ではありません。しかし、「日本人が嫌がる仕事は、貧しい外国人にやらせればいいや」という、「差別的3K移民」に昔から反対しています。この手の移民が、欧米でもロシアでも大問題になっているからです。

三つめの失策というか「無策」は、少子化問題。現在、日本の人口は、1年間に50万人というすさまじいスピードで減少しています。

総務省は5日、住民基本台帳に基づく人口動態調査を発表した。1月1日時点の日本人は1億2427万1318人と前年から50万5,046人減った。減少幅は1968年の調査開始以来最大で、11年連続で減った。

(日経新聞2020年8月5日「人口減最大、50万人 11年連続減 外国人最多286万人 総務省 人口動態調査」)

ちなみに鳥取県の人口は56万人。日本では、1年間で一つの県が消滅する勢いで人口が減っている。このままだと、80年後、日本の人口は5,000万人を切るといわれています。今の韓国レベルですね。その時、日本のGDPは世界10位以下になるでしょう。中国からの移民が、全人口の半分ぐらいを占めているかもしれません。はたして日本は、独立国家でありつづけることができるでしょうか?

 

安倍内閣は、「出生率1.8」という目標を掲げていました。ですが、事実上何もしていないようです。少なくとも、状況は何も変わっていません。というわけで、

  1. 消費税率を2回引き上げたこと
  2. 外国人労働者を激増させたこと
  3. 少子化問題にほとんど何も取り組んでいないこと

この三つは、安倍内閣の失策だと思います。

 

安倍総理の功績

今度は、ポジティブな話をしようと思います。

まず経済。株価は上がりました。民主党時代8,000円台まで下がりましたが、今では2万3,000円台。約3倍上がった。もう一つ、失業率が下がりました。民主党時代の2010年、5.1%だった完全失業率。2019年7月には、2.2%まで下がりました。失業率、今は上がっているでしょう。しかし、これは新型コロナ禍の影響。世界的な現象で、「安倍総理のせいで」とはいえません。

次に外交。一番の功績は、「自立外交するようになった」こと。「安倍は、トランプのポチだ」という人は、たくさんいます。これは、無知だからそういっているのか、あるいはポジショントーク(=安倍嫌いで、はじめから結論が決まっている)なのでしょう。実際、安倍さんは、トランプのポチでは全然ありません。証拠をお見せしましょう。

  • トランプ = TPPから離脱
  • 安    倍    = TPPに残留
  • トランプ = パリ協定から離脱
  • 安   倍     = パリ協定支持
  • トランプ = イラン核合意から離脱
  • 安   倍     = イラン核合意支持
  • トランプ = エルサレムをイスラエルの首都と認定
  • 安    倍    = これに反対
  • トランプ = WHO脱退
  • 安   倍     = WHOにとどまる
  • トランプ = G7をG11にしたい
  • 安   倍     = G7維持を支持(韓国参加に反対)

こう見ると、安倍さんは、トランプさんと全然違うことがわかります。いったい何をもって、「安倍はトランプのポチだ!」というのでしょうか?

 

二番目の功績は、日米関係を復活させたこと。民主党政権(特に鳩山政権)は、日米同盟をボロボロにしました。安倍総理は、民主党政権から「最悪の日米関係」を引き継いだのです。

しかし、総理は、日米関係を復活させることに成功しました。これは勝手によくなったのではなく、安倍さんが、「よくした」のです。2015年4月の「希望の同盟」演説を覚えているでしょうか?2016年12月、真珠湾でオバマさんは、こんなことをいいま
した。

オバマ米大統領は27日昼(日本時間28日朝)、米ハワイ・真珠湾で開催された日米首脳会談後の演説で「戦果より和解にこそ価値がある。戦争の傷は友情に変わり、日米同盟はかつてなく強固になった」と語り、日米同盟の強固さを強調した。

(日経新聞2016年12月28日「オバマ大統領『日米同盟かつてなく強固』 真珠湾で演説」)

そして、安倍総理は、きまぐれで猛獣のようなトランプさんとも、良好な関係を築きました。

三番目の功績は、日ロ、日中、日韓との関係を修復したこと。民主党時代、日本はほとんどすべての国との関係が悪く、孤立していました。「トラストミー」鳩山さんは、日米同盟を破壊した。2012年7月、メドベージェフ首相(当時)は、北方領土を訪問し、日本人を激怒させた。2012年8月、李明博は、「日王が韓国に来たければ謝罪しろ!」と発言し、日韓関係は最悪になっていた。2012年9月、野田政権は、尖閣を国有化し、日中関係は戦後最悪になりました(尖閣国有化は、よかったと思いますが)。結果的に、鳩山、管、野田の民主党3政権は、

  • 日米、日中、日ロ、日韓

関係を、破壊しつくしていたのです。

安倍総理は2016年末までに日米、日ロ、日韓関係を改善し、それによって、日中関係もかなり良くなりました。2018年秋以降は、中国に接近しすぎましたが、それでも民主党政権よりはずいぶんマシです。

最後に、安倍総理が「史上最長政権だった」件について。日本人にとっては、「史上最長」ですが、世界的には「ごくごく普通の長さ」です。アメリカ大統領が二期務めたのとだいたい同じ長さ。小泉総理から第2次安倍政権まで、日本では短期政権がつづきました。だいたい1年で総理が代わっていた。こういう状態は、日本の国益になりません。世界の指導者たちは、「日本のリーダーと何か話しても、来年はもういない」と思うからです。安倍総理は、長期政権だったので、「一緒に何かできる」存在だったのです。

以上、安倍政権の「悪かったこと」「良かったこと」をあげました。

良かったことも、悪かったこともありますが、他の総理大臣と比べれば、「ずいぶんマシだった」といえると思います。民主党3政権と比較すれば、「偉大な総理だった」ともいえるでしょう。

安倍総理、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。ゆっくり治療に専念され、健康を回復されますように。

※※※※※

 

 

きちんとファクトをあげて客観的に論評したいい文章だと思います。

私もこのブログでそのときに何度も書いたように、消費税増税は最大の失策だったと思います。財務省に逆らって、むしろ消費税減税をすべきであったと思っています。

私はインバウンドに頼る政策にも反対でした。

そのつけがコロナできたように思えます。

ただ、今まで日本ができなかった外交できるようになったのは功績です。

ですから、この文章の結論で言っているように、『良かったことも、悪かったこともありますが、他の総理大臣と比べれば、ずいぶんマシだった』につきると思っています。