owlさん、こんにちは。
映画『タイタニック』は深く見れば見るほど凄い映画ですね。
私の勝手な考えとして、映画の興行成績は名作であることと反比例すると思っていました。
つまり、興行収入が大きい映画に名作はないということです。
ある程度、そう言うことも言えるのは、大掛かりな演出をする映画ほど当然制作費用もかかり超大作と言うことで人々も見ますから大人気になりやすいですし、人気タレントを主役にした恋愛映画やあるいはハラハラドキドキのアクション映画が興行成績の上位を占めるからです。
しかし、この『タイタニック』は大掛かりな演出で製作費用も多くかかっていて興行収入も大きい大ヒット作なのに、名作です。私には稀有なことのように思えます。
『ショーシャンクの空に』は興行成績は散々で、その年には話題にもなりませんでしたが、レンタルビデオで徐々に『知る人ぞ知る名作』になっていきました。
ただの大掛かりなパニック映画、または、単純な恋愛映画となってもおかしくなかった『タイタニック』がこれほど名作になった理由は何でしょうか。
それは主役の2人以外は、ほとんど実在の人物が描かれ、それらの史実自体がとても感動的であることも一因です。
『不沈のモリー』や船と最期をともにした楽団員たちや船長、そして老夫婦、すべてが史実です。
インテリアなど細部にわたって忠実に再現したこだわりも凄いものがあります。
そして、何より、この映画を名作としているのは、単純で甘ったるい恋愛ドラマではなく、過酷な人間の格差社会も描きながら、ジャック・ドーソンの生きざまが卓越しており、ローズにおいてはただの恋愛相手ではなく生きる希望を与えたマスターだったということにあると思います。
そう見ていくと、owlさんもおっしゃっているように、ジャックの一言一言がローズにとって一生の指針となっていく様子が分かります。
最後のあの写真たちを見ても、ジャックの言うように馬にまたがっています。
女優となり自己表現をしています。
そして、『暖かいベッドの上で死ぬんだ』という言葉を守って死にます。
おっしゃるように、特に、あの場の人たちが感嘆した『life is a gift. to make each day count.』は、ローズの胸に刻み込まれていて、その言葉通りに人生を生きたことが分かります。ですから、最後に同じ言葉を言ったのでしょう。
『彼は私を救ってくれた。すべてにおいて。』という言葉がそれをよく表しています。
面白いのは、最初のころ、ジャックが自分の絵を説明する場面です。パリで『マダムビジュー』と呼ばれていた、ありったけの宝石をつけて帰らぬ恋人を待ち続けている女性のことを話します。
ここは、暗にそうなってはいけないと言っているようで、その通り、ローズはそういう生き方はしませんでした。
しかし、宝石は最後まで持ちます。
生活に苦しい時にそれを売れば裕福な暮らしができたはずですがしませんでした。
この映画は深く掘り下げれば掘り下げるほど、いろいろな感慨が湧いてくる、大変な名作だと言えるでしょう。
1990年代でほとんどの名作が出尽くしたという仮説も私は持っていますが、この映画見てもそういう気がしてしまいます。