映画『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』は、トランプ前大統領が副大統領候補として選んだ、J・D・バンスの自伝的小説を映画化したものです。
バンスが副大統領候補になったので、この人を有名にした『ヒルビリー・エレジー』を見たくなりました。
ラストベルトと呼ばれるオハイオ州で生まれ育ったバンスの回想録ですから、ラストベルトに生きる労働者たちの小説だとばかり思っていましたが、主にバンスの家族の物語でした。
特に、薬物中毒の母親と毅然とした祖母の2人が中心です。
白人労働者の寿命だけが縮んでいるのは、酒とドラッグの果ての自殺のパターンが多いからだそうです。
『絶望死』と言うそうです。
バンスの母親も重度の薬物依存ですし、バンスの高校時代の仲間たちもドラッグが当たり前のような感じです。
ラストベルトと言われる地域では、人々の心が荒廃している様子が描かれています。
バンスは、イェール大学のロースクールに進んでエリートの仲間に入れましたが、そうでない大多数の白人労働者階級はとんでもなく荒廃しているのだと思います。
なぜ、白人労働者は移民反対、中国排除、外国排除、アメリカファーストを掲げるトランプに熱狂するのか、ラストベルトの荒んだ光景を見るとわかるような気がします。
そして、この映画を見てはっきりとわかりました。
次の47代大統領はトランプですが、その次の48代大統領は間違いなくバンスになるだろうと。
極めて貧しい環境から大統領になるのは、まさしくアメリカンドリームそのものですし、今まで搾取され虐げられてきた白人労働者の夢を体現しているのですから、無敵です。
もちろん、バンスのなかでは、日本や中国に搾取されたという気持ちは強いでしょうから、これから日本は大変困難な状況に置かれることは確かです。
ひょっとすると、日本を憎んでいるかもしれません。
ただ、バンスは将来的に極めて優秀な大統領になると思います。
そして、それ以上に、この映画を見ることによって、バンスに大統領になってほしいと思うようになりました。