中国の双循環の隠された意味

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[北京 10日 ロイター] - 中国改革派の間では、習近平国家主席が提案した新たな経済モデル「双循環」を契機に、内需振興と構造改革が加速するとの期待が高まっている。政策関係者らによると、10月に開かれる中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)では双循環モデルについて討議され、5カ年計画に組み込まれる見通しだ。

習主席が5月に発表した双循環モデルの柱は、国内で生産、分配、消費を循環させる「内需大循環」だ。貿易や資本、投資を対外開放して世界経済との一体化を進める「国際大循環」が、これを補助する形となる。

折しも米中間では貿易を巡る緊張感が高まり、両国経済のデカップリング(かい離)が大きなリスクとして浮上している。そうした中、中国のこの構想は、広大な自国市場への依存へと、シフトを切る決意の表れだ、と政策関係者らは言う。

5中全回の焦点は、2021―25年の社会・経済計画を示す5カ年計画。中国が初めて策定した1953―57年の5カ年計画によって急速な工業化に乗り出して以来、今回の計画は14回目となる。

政策関係者は「(双循環は)14次5カ年計画の軸になるだろう」と話した。

5カ年計画の詳細は来年の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表される予定で、現在はほとんど明らかになっていない。しかしエコノミストやシンクタンクは、さまざまな改革を提案している。

政府顧問らは、土地・居住制度の改革を加速し、消費を圧迫してきた貧富の差の拡大に取り組むよう提案している。現在の制度は、高度に都市化した消費主導経済の構築という目標を達成する上で、最大の障害となっているからだ。

また、巨大国有企業を改革して根深い経済のゆがみを解消し、民間企業が平等に闘える土俵を築くことも、政府顧問らが提唱するポイントだ。

ある顧問は「改革をしっかりと行えなければ、国内大循環は始まらない」と語った。

習主席は8月24日の国内エコノミストらとの会合で、「根深い制度的障害」の打開に一層取り組むと約束。資源配分の決定的な役割で市場を重視するという、長年の方針を再確認した。

実際、経済の不均衡を是正し、輸出から個人消費に軸足を移すことは、10年前からの政策目標だ。

しかしここ数年、安定を重視する政府は安易な方向に流れ、2013年に公表した痛みを伴う改革を先送りしてきた。共産党が社会のあらゆる側面で統制を強めたことで、改革加速に疑問が生じた。

改革は大きな賭けだ。

中国の国内総生産(GDP)に占める輸出と輸入の割合は昨年32%と、ピークだった2006年の64%から縮小した。ここ数年間、経済成長を主導させると位置付けてきた個人消費の割合は、昨年は55.4%と、2010年の49.3%から拡大したが、先進国並みの70―80%には遠く及ばない。

国の所得水準が中間レベルに達した時点で経済が停滞する「中所得国の罠」に陥るのを避けるには、さらなる改革が必要だとエコノミストは指摘する。最先端技術を備えた国々との競争激化と併せ、より労働コストが低い国々との競争が成長の最大の障害だ。

政策関係者らによると、中国が今後5年間で高所得国の仲間入りを果たすには、年率5%の成長を続ける必要がある。しかし新型コロナウイルス危機により、今年の成長率は文化革命を終えた1976年以来の最低に落ち込む可能性が高い。

中国政策科学研究会のXu Hongcai副ディレクターは「大国が外需に依存するのは現実的ではない。われわれは国内のサプライチェーンの安定を高め、改革を進めてバリューチェーンを上って行く必要がある」と述べた。

(Kevin Yao記者)

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習近平は、今年の5月から『双循環』という経済モデルを提唱し始めました。
さて、この双循環モデルとは何でしょうか。
内需大循環と国際大循環の2つの大循環が支え合うモデルです。
つまり、内需と外需を2つの柱にしようということです。
こう言ってしまうと、何の変哲もない当たり前のことです。
この隠されたメッセージは『外国に頼るな』
もっと秘められた意味は『外国と喧嘩して縁を切ってもいいようにする』です。
 
これから中国は自分の国と友好国だけの共栄圏を目指していくでしょう。
まずは、韓国、北朝鮮。特に韓国を全力で中国に取り込んでいくはずです。
台湾から半導体が入らなくなった今、韓国はどうしても欲しいでしょう。
そして、東南アジア。これはすでに経済面で中国に逆らえないようにしていますし、これからもますます経済面での支配を強めていくでしょう。
イランとロシア、パキスタン。米国と軍事的に対抗するために、これらの国と軍事的な協力をし合うでしょう。
 
これから、中国は、食料、石油、レアアースを大量備蓄していきます。
名目は、双循環モデルで内需拡大のためとするでしょうけど、実質的には戦時体制ということです。
中国は日本が戦争に敗れた理由を詳細に分析しているでしょう。
包囲網が完成し必要な物資が輸入できなくなったのが大きな原因だと認識していますから、食料、石油、金属の3種類を大量に溜め込んでいくでしょう。
この中でレアアースは、中国シェアが8割ですから、備蓄する必要もないはずですが、レアアースは米国の軍事に欠かせないものですから他国に輸出しないようにすることによりダメージを与えるために輸出を絞ってくるでしょう。
 
習近平は、食べ残しを禁止したり、農家に果物などの代わりに穀物を生産するように言うなど、食料に関してさかんに言及しています。
コロナや洪水やバッタによる食糧危機のおそれのためと言う人も多いですが、それだけでなく、明らかに戦時体制を敷こうとしていると思います。
 
来月には、5カ年計画が発表されるでしょうから、『双循環』の文字を目にすることも多くなるでしょう。
                   (2020年9月14日10時)