映画『時の面影』はいい映画でした。
とても静かで落ち着いていて、曇り空や雨が多く時として陰鬱に映る画面の連続ですが、心に染み入る作品でした。
イギリスの裕福な家の未亡人が所有する広大な土地から世紀の大発見となる遺跡が発掘された実話を基にしています。
未亡人役はキャリー・マリガンです。
実話ではこのときの年齢は50代ですが、見事に演じています。
『マエストロ』といい、この作品といい、キャリー・マリガンは現代最高の女優だと確信が持てました。
この未亡人が雇った発掘人は、農家の家の出で、12才から学校にはいっていない、アマチュアの考古学者です。
世紀の大発見のため、途中から大英博物館の有名考古学者に強制的に発掘の指揮者を交代させられるのですが、未亡人とアマチュア考古学者との人間的な信頼関係はずっと続きます。
物語は静かに淡々と進むのですが、未亡人がいつ発作によって亡くなるかもしれない不治の病であることからも、人間の生と死、時とは、など深く考えることができました。
最後、何故か泣けてきました。
こういう映画を本当に素晴らしい映画というのでしょう。
見終わった後、心が静謐になっているのを感じました。