レナード・バーンスタインを描いた映画です。
最初は陳腐な恋愛映画のようで、フェリシアとの出会いや結婚のくだりが延々と続く感じで期待外れかなと思っていました。
妻のフェリシア役は、キャリー・マリガンです。
『華麗なるギャツビー』などでもその可愛さは際立っていますので、注目している女優さんです。
若い時の可愛さ、可憐さだけでいくと、ひょっとすると、メグ・ライアンのようにそこから脱皮できずに終わるのではないかと危惧していましたが、見事に本格的な女優らしさを見せてくれました。
癌闘病の時の演技も出色です。
素晴らしい女優さんになったと思います。
この映画で私が何より感動したのは、バーンスタインがマーラーの交響曲第2番復活を指揮している場面です。
もちろん、私がマーラーのファンで、特に落ち込んだ時に復活の最終楽章を繰り返し聴いていたという特別の想いもありますが、この演技は神がかっています。
1974年の演奏を再現したのでしょう。
実際の映像は次の動画の一番最後です。
映画と実際を見比べるのも面白いです。
この演奏の前に、バーンスタイン夫婦は大喧嘩をします。
妻のフェリシアは夫に、『あなたの演奏は観客みんなに憎しみをぶつけているんだ』と言い放ちます。
しかし、このマーラーの復活の演奏が終わったとき、妻は『間違ってたわ。あなたの心に憎しみはない』と言ってくれます。
このシーンだけでもこの映画が素晴らしいと断言できると思います。
バーンスタインは同性愛者でした。
それを隠そうともしませんでした。
それにより、妻は深く傷つきますが、マーラーの復活という音楽の力は、『復活』をもたらしたのかもしれません。