『ゴッドファーザー 最終章』は、監督のコッポラが『ゴッドファーザー3』を編集し直したものです。
私は、『ゴッドファーザー』は、三部作すべてディスクを持っており、特に1と2は、何十回となく観ています。
3は数回見ただけです。
何故か3だけは繰り返し見る気にならないのですが、今回、再編集版が出たというので見てみました。
格段にストーリーが頭に入りやすくなっており、これは大きな進歩です。
1と2に比べ、内容がスカスカだと感じていたのですが、見返してみるとかなり複雑な要素もふんだんに盛り込まれており、他の映画と比べると中身は濃いものだとは感じました。
キリスト教会に君臨するバチカンのマフィアとの癒着、内部による法王暗殺、など極めて衝撃的な内容です。
ただ、再編集しても何かが決定的に足りないと強く思いました。
1と2に比べ、人間の哀しみ、無常感が描かれてないのです。
最愛の娘を目の前で殺されるという、悲しみの極致のようなストーリーにはしてあるのですが。
このストーリー自体が安易に思えて白けてしまう。
再編集版を見ないうちは、娘役のソフィア・コッポラの演技の下手さが原因だと思っていましたが、今回、筋や脚本に問題があるように思えました。
もっと言えば、1・2の時のコッポラ監督の視点と3が全く違うのが原因でしょう。
人間の哀しみや無常感は、俯瞰した視点で描かないと出てこないものです。
バチカン絡みの陰謀やヘリコプターでの襲撃という大掛かりな演出によって、1・2より壮大さを出そうとしていますが、やればやるほどかえってスカスカな感じが強くなっています。
1・2と比べられるので、どうしてもハードルが高くなりすぎているのはかわいそうですが。