映画『マーシャル』は、アメリカ史上初の黒人最高裁判事となったマーシャルが主人公の裁判映画です。実話です。
黒人弁護士の活躍と言えば、『黒い司法』が思い出されますし、黒人初の最高裁判事となったマーシャルの裁判映画なので、期待して観ましたが、『黒い司法』のような感動は得られませんでした。
これは、両作品の主人公の人柄の描き方の違いだと思います。
『黒い司法』の弁護士は、誠実でひたむきなところがにじみ出ていましたが、マーシャルにはそういうところは感じませんでした。
むしろ、民事しかしたことがない駆け出しの白人弁護士の、最初の頼りなさから徐々に自信をつけていって成長していく姿の方がほほえましくおもえました。
上流階級の妻が、召使の黒人男性にレイプされたと言って訴えた事件の映画です。
犯人の黒人は『指一本触れてない』と断言しますが、不利な証拠が続々と出てきます。
被害者女性が語ることや救助されたときの状態は、黒人容疑者が語ることとはあまりに乖離しています。
その乖離はどこから来るのか、これがこの作品の見どころで、真相を聞くと納得し、なおかつ、真相を隠さなければならないほど黒人差別が酷かったのか、ということに気が付くことになります。
『グレイス 消えゆく幸せ』
夫殺しの罪を認めている黒人女性と女性弁護士の映画で、弁護士事務所の所長が司法取引で裁判を回避したい意向なのに(アメリカでは殺人という重大な刑事事件であっても裁判を回避した司法取引ができるらしい)裁判に勇敢に挑んだという裁判映画だとばかり思っていました。
確かにラスト20分まではそのように進むのですが、どんでん返しが待っていました。
裁判映画としては、主人公の女性弁護士があまりにも無能で初歩的なミスだらけで、証人選定も致命的なミスを犯し、まるで勝負にもならない展開で、『???』でした。
第一、被告人自身が自分が夫を殺したと認めているのですから、どのような意外な展開にもならないはずでした。
しかし、このどんでん返しは凄かったです。
筋的には前半、かなり破綻している箇所があるのですが、ラスト20分までの作品としての様々なほころびを考慮しても、ラスト20分の全く予想しなかった結末に『まいった』という感想です。
これを実話と書いているサイトもありましたが、実話かどうかははっきりしません。
実話であれば怖ろしすぎます。