大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が昨日終わりました。
大河ドラマの主人公が亡くなって、最終回になると、いよいよ今年も終わりだなという感慨にふけることができます。
一年を通して、主人公の一生を追体験した気分になれるので、大河ドラマはやはりいいですね。
『鎌倉殿の十三人』は、実は全く期待していませんでした。
脚本の三谷幸喜の作品は、ドラマでも映画でもいろいろ見てきましたが、初期の作品からどんどん劣化しているように思えていましたし、前回の大河ドラマの『真田丸』が私には全く面白くない駄作でしたので。
『真田丸』がなぜ駄作かと言うと、真田幸村は大阪城に入ってからの1,2年だけのエピソードしか残されてなく、それ以前は父親の真田昌幸の活躍のはずなのに、幸村を主人公としたために、どこでも歴史の表舞台で大活躍したように描いていること、幸村を優秀に描きたいために、天才であった父の昌幸を過小評価しておちゃらけて描いていたこと、などです。
人物像の深い描写もありませんでした。
ということで、今回の『鎌倉殿の十三人』も全く期待はありませんでしたし、最初の源頼朝のときは『また、これか』と毎回しらけて見ていました。
源頼家や実朝は、私は好きと言うか非常に興味のある人物たちなので、頼朝が亡くなってからはかなり面白く見ることができました。
そして、今回、とてもよかったのは、主人公の北条義時を人格者に描かなかったことです。
むしろ、極めて悪人に描いていました。
初期の人の好さから権力を握って悪人になる過程を描いたのは画期的です。
三谷幸喜は吹っ切れたのでしょう。これは、大河ドラマではなかなかできない演出でした。
歴史上の人物たちは、どれも酷いことのオンパレードであり、親や兄弟や子供や主君や殺したりしていますが、大河ドラマではなぜか、理想に燃える人格者だったりします。
その嘘くささが鼻についていたので、今回の描き方には賛辞を贈りたいですね。
最終回、承久の乱は時間をかけて描いてほしかったですし、2話にわたって描くべき日本史上の大事件であるのですが、費用との兼ね合いがあったでしょうからある程度納得はしています。
ただ、人物の描き方の深みはないですし、あまりにも現代的な発想で物事をとらえているので、繰り返し見るような作品ではないですし、私の中の大河ドラマベスト10には全然入りませんが、頼朝が死んでからの後半はまあまあ楽しめたので成功の部類だと思います。