『これでいいのだ』

 ねこまる (180.199.17.9)  
ショーシャンクさん、温かいお言葉、本当にありがとうございます。
ご返信をいただけた時、もし私のやっていることに不足不備があったら、 きっとショーシャンクさんなら、ご指摘してくださると思いました。
「しかし、少し光が見えてきたようでそれはよかったと思います。
良い方向に行くように祈っています。」
この言葉から、今の自分に少し自信がもてました。
今まで起こったこと、今回起こった事件、とても悲しいですが、 当人の行いから、私は成長させられたように思います。
過去の歯車が一つでも違ったら、今のような行動できる自分はいないし、ショーシャンクさんにも会えていない。
被害に遭った家族には申し訳ないですが、当人に感謝の念すら芽生えてきています。
今は、私の家族と実家、その土地財産を守るため、遺言公正証書の手続きを自分で調べています。
マイナス、不安要素を完全に断ち切るため、絶対に最後までやり切ります。 世界情勢、これから怖ろしいですね。。。
でも怖い話ですが、ショーシャンクさんの世界情勢についてのご意見を聞くのが好きです。
昨年9月から一切株をやっておらず、何も有益な情報を何一つ発信できていません。。本当に申し訳ないです。
しかし、今は身近の困っている人に向き合い、自分にやれることを精一杯やることが、 私の成長目標、主体的に考えて道を切り開くことに繋がると信じています。
やり切ります! いつもありがとうございますm(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m

 

 

ねこまるさん。

これから、世界中が、艱難の時代に入っていくと思います。

これから最も大切なのは、どんなにかっこ悪くても、どんなに不義理をしても、どんなに嫌われても、生き抜くことです。

他人からいい人と思われる必要は全くありません。

むしろ、いい人と思われない方がずっと生きやすいです。

 

これからの時代を生き抜く秘密のマントラは、

何が起きても『これでいいのだ』

何があっても何がなくても『どうでもええやんか』

の2つです。

 

人間は皆、他人からの期待値を上げようと必死になります。

しかし、これからの時代、他人からの期待値はなるべく低いほうが生きやすいです。

 

人間は表面を見れば、立派に幸せそうに見えます。

例えば、いま取り上げている映画のバーンスタインですが、これほど才能に恵まれた人はいません。

まさしく天才です。

指揮もアメリカ人初の世界的な大指揮者です。

そしてウエストサイドストーリーなどの作曲の才能も極めて高いです。

テレビタレントとしても超人気です。

ハーバード大卒で、教育者としても一流です。

富も名声も世界でもトップクラスで、しかもハンサムで、美人女優の妻と子供三人に恵まれています。

人類トップ級の幸せ度です。

 

しかし、父親を殺す夢を毎晩見ていた、と打ち明けます。

心に大きな闇を抱えていたのです。

毎日、タバコ100本とウィスキー1本とドラッグは欠かさず、起きているときはいつもハイテンションでした。

これは、心の闇を紛らわそうとしていたのだと思います。

妻は、『才能の重圧から逃げているんだ』と分析します。

 

あれほど才能があり有名であり大金を稼いできたバーンスタインですが、

妻からは『チリに「ふんばかりする鳥の下にいてはいけない」ということわざがある。私は、ふんばかりする鳥の下にずっといたのよ。笑えるほど長い間。』と言われます。

妻はどんどん落ち込み、明るさがなくなり、鬱状態になります。

 

これをみても、これからの時代、心を軽くすることが最も重要かなと思っています。

 

 

 ねこまる (180.199.17.9)  
ショーシャンクさん、こんにちは。 『これでいいのだ』、私が昨年どん底に陥っていた時に、ショーシャンクさんが教えて下さった魔法の言葉ですね。。
限りなく0になりかけた状態で、この言葉にどんだけ救われたか、言葉で表すことができません。
『どうでもええやんか』もこれから大事に唱えていきます。
バーンスタインのお話、ありがとうございます。
「他人にとって素晴らしく見える人生」より「自分が心穏やかで充実した人生を過ごす」を私は選択したいです。
例え同じ家庭で育った兄弟でも、価値観も考え方も全く違うことを知りました。
何があっても、何とか助けたい・どうにか力になりたいと、最初は考えていました。
今はそれが底なし沼であるのに気付き、下手したら自分も、私の家族も沈むと。
私にできる範囲で、私にとって良いと感じる身近な大事な人と助け合い、 豊かで平穏で、明るい未来を切り開こうと思います!
 

 

ねこまるさん、そうですね。

人生の時間は極めて短いです。

そして、最も時間と労力とお金を浪費してしまうのは、くだらない人間とのつきあいです。

人間には、信頼のできる自分にプラスになる人、プラスにもマイナスにもならない人、時間も労力もお金もマイナスになってしまう人、の3種類があります。

信頼のできる、自分にプラスになる人は極端に少ないものです。

世の中には、時間も労力もお金も吸い取るような人も存在していて、それがたまたま親や子や兄弟であればかなり困ったことです。

ただ、親子はともかく、兄弟は他人の始まりですから、きっぱりと関係を断ち切ったほうがいい事例が現実にはかなりあります。

判断する方法は簡単です。

その人と接していて心が軽くなる人と積極的に付き合って、心が重くなる人は徹底的に避けていきましょう。逃げるが吉です。

バーンスタインの妻のフェリシアの言葉であれば、『フンばかりする鳥の下にいてはいけない』、ですね。

いい方向に行くことを祈っています。

 

 

 

 owl22 (60.98.32.128)  
ショーシャンクさん、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたしま す。
今日は、小雪も降り、寒い一日でした。
でも、この時期ならではの、澄んだ空気・張りつめた寒空に、いつものことながら、心奪われています。本当に美しいですね。
今年の正月もデスクトップには、「1富士2鷹3茄子」をお借りして背景にさせて頂きました。
「2024年1月1日は、一粒万倍日と天赦日、天恩日が重なる奇跡の大開運日」とあり、期待して迎えた元日だったのですが、ショックでした。
でも、今こうしてショーシャンクさんの言葉を何度も何度も読みながら、今を感謝して生きていこうと思っています。
いつもありがとうございます。
ねこまるさん、あけましておめでとうございます。
いろいろおありのようですが、心の中だけしかできませんが、ねこまるさんを応援しています。どうか良い年になりますように。

 

owlさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

今年は元日から、大変な地震が起きてしまいましたね。

1月2日にも重大な事故がありましたし。

今年の元旦は、一粒万倍日、天赦日だったのですね。

大安にしても、一粒万倍日にしても、天赦日にしても、万人にいい日とか万人に悪い日というのはあり得ないと思っているので、ほとんど見たことがないです。

ここ10年以上宝くじは買っていませんが、宝くじを買っていた時も大安や仏滅を意識したことはないです。

大安には宝くじの売上が伸びるらしいですが。

元日に大地震があった年など今までなかったのではないでしょうか。

何か、私たちに大切なことを知らしてくれているような気がしました。

これからは、かなり厳しい時代になると私は思っています。

これから、一日一日を生きていくうえで、今日も地震や戦争で住むところを奪われたり食べ物を奪われたりすることなしに無事に過ごされたということだけで大きく感謝するべきというメッセージではないかと思っています。

owlさんにとって今年が素晴らしい年でありますように。

 

 

 ねこまる (180.199.17.9)  
owl22さん、温かいお言葉、ありがとうございます。
心の中だけでも、すごくありがたいです。
今は身内に降りかかった困難に取り組んでいます。
今まで私が体験したことは、この困難を乗り越えるためにあったような気がしてます。でも無理はせず、私のできる範囲で頑張り、どういう結果になっても、『これでいいのだ』『どうでもええやんか』と平静に唱えれるようにします(^^)
私にとっても、ショーシャンクさんにとっても、owl22さんにとっても、2024年が良い年になることを願ってます!

 

 

 

 

マーラーの曲について


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先月紹介した映画『マエストロ その音楽と愛と』を繰り返し観ています。

音楽関連の映画は、私は何度も見る傾向にあります。

今までの人生で最も繰り返し観た回数が多いのは『ショーシャンクの空に』を上回って『アマデウス』です。

『アマデウス』はあまりにも何十回と観たので、役者の演技の粗が見えてくるほどで、映画としては不完全ですが、特にモーツァルト当時のオペラの雰囲気を味わいたくて何十回となく観ました。

『マエストロ その音楽と愛と』もこれから先、何度も繰り返し見ることになりそうです。

久々に、私の好きな映画ベストテンに入る作品なのかもしれません。

 

重要なところで、マーラーの曲がかかります。

マラ5とマラ2です。

 

マーラーの最高傑作、そしてひょっとするとすべての交響曲の最高傑作は、マーラー交響曲第9番だと思っていますが、この曲については、バーンスタインとカラヤンの間にエピソードがあります。


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バーンスタインのマラ9の演奏はこちらです。


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ただ、私には、バーンスタインのマラ9は激しすぎます。

2番であればいいのですが、9番はどうでしょう。

 

私は指揮者のなかで精神性が感じられないカラヤンが嫌いなのですが、何故か、マラ9だけはカラヤンを聴きます。

ベートーヴェンならフルトヴェングラーが至高と思っていて、カラヤンのベートーヴェンは絶対に許せないのですが。

 

 


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今年の世界は

 ねこまる (180.199.17.9)  
ショーシャンクさん、こんばんは。 昨年のご投稿に、コメントしてすいません。
遡ってご投稿を読んでいて、ショーシャンクさんの「何があっても何がなくても、とりあえず今日はメリークリスマス!」という言葉が目に留まり、今コメントしています。
(センシティブな内容なので、ブログに載せなくても、コメントいただかなくても結構です。)
12月20日、私の○の○が、・・・・・・・・(以下、略)

 

 

ねこまるさん、こんにちは。

大変でしたね。

特に、12月20日ですから、クリスマスや大晦日、正月と言った家族団らんを楽しみにしていたその方のご家族がかわいそうですね。

しかし、少し光が見えてきたようでそれはよかったと思います。

良い方向に行くように祈っています。

 

今年からは、日本というか世界中が大変な年になるように思っています。

今年は、米大統領選があります。

私は、トランプ以外の共和党に勝って欲しいのですが、残念ながらトランプが共和党候補になるでしょうし、大統領選にも勝つでしょうね。

民主党はバイデンではとても勝てないので、オバマの奥さんのミシェル・オバマが動き出していますね。

ミシェル・オバマであれば、かなり票を集めますし、互角の争いですが、トランプが勝つでしょう。

これを見越してロシアが勢いづいています。

ウクライナはいつ停戦するかの段階です。

極めて残念ながら、ウクライナの敗北ですね。

勢いづいたロシアはイランと何か企んでいますね。

おとなしくしているイランが不気味です。

代わりにフーシ派にやらしている感じです。

いま、世界経済は、原油価格が落ち着いていて、小康状態ですが、これから先、原油価格が再び100ドルを超えてきたら、かなりの危機に直面することになります。

イランーロシアー中国ー北朝鮮 この4カ国が大暴れする時期に今年からなっていくような気がします。

去年、ジャニーズ帝国が崩壊したように、今年からは今までの権力体制、社会構造が世界的に崩壊していくように思っています。

 

心を整えて、気を引き締めて行こうと思っています。

 

マイナスの人間関係はどんどん断ち切って行くべきと思っています。

 

仏陀も、『本当に信頼できる仲間がいればともに行きなさい。みつからなければ一人で行きなさい』と言っています。

 

 

 

映画『神の日曜日』


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映画『神の日曜日』は、実話に基づいたキリスト教の牧師の話です。

以前、私はキリスト教関連の映画も数多く観ていましたしディスクも多く所有しています。

イエス・キリストを描いた映画はほとんどすべて観ていますし、聖フランチェスコの『ブラザーサン・シスタームーン』は、私の好きな映画ベスト10に入るくらいですし、『祈りの力』や『天国は本当にある』などのキリスト教宣伝映画までも多く観ています。

キリスト教やキリスト教文化をずっと尊敬していました。

 

しかし、マニカナ掲示板に仏教語をハンドルネームにして仏教徒を偽装したメッターという者が乱入してきて主催者の石飛先生や他の人たちを盛んに汚い言葉で貶し始めました。

このメッターという者は、本当は、ヤフー掲示板でマルコなどと名乗っていた熱心なキリスト教徒でした。

その言動を見るうちに、キリスト教への尊敬や親しみが全く消え失せ、興味もなくなり、失望感だけが広がって、以前ほどキリスト教関連の映画を観ることはなくなりました。

極めて強い負の影響力だったと思います。

口先だけでいくら愛だの許しだの並べ立てても、その言動、行状があまりにもなっていない現実に愕然としました。

世界を見ても、キリスト教国でありながら盛んに戦争や虐殺を起こしてきた事実が数多くあります。

尊敬が消え失せ、極めて冷静に考察し始めると、メッターという者が強調していた、キリスト教学の根本理論である三位一体に関しても、疑問が生じてきました。

 

三位一体は、神の3つの側面、ペルソナです。

父と子と聖霊です。

神なる父、神なる子、神なる聖霊です。

ところが神の中に人間、衆生が入っていません。

キリスト教神学では、神と人間にはどうしても分離があることになります。

ユダヤ教やキリスト教では、神と人間は契約で結ばれる関係です。

契約する関係というのは、別個の人格ということです。

しかし、神を唯一神、絶対とするなら、神でないものはないはずです。

キリスト教神学は、本当にイエス・キリストが言おうとしたことなのでしょうか。

 

 

さて、このことを踏まえて、この『神の日曜日』を観ると、この牧師の苦悩がわかる気がします。

神なる子、イエス・キリストが全人類のために贖罪をおこなった。

完全なる神が人類の罪を贖ったのだから、人類の罪は完全になくなっているはずだ、これがこの牧師の主張です。

ですから、キリスト教が伝播してないアフリカの地方に生まれキリスト教を知らず信仰も持たずに死んでいくアフリカの人たちもすべて救われているはずだ、という主張です。

 

映画のように、この主張は、キリスト教会からは異端とされました。

私も異端だと思います。

仏教で言えば天台本覚思想に近い。

しかしながら、論理的には、完全なる神としているのですから、その完全なる存在がした贖罪は完全なものにならないとおかしいという結論になるはずです。

 

この映画によって、様々なことを考えさせられました。

映画『アウトフィット』


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映画『アウトフィット』は、上質な作品でした。

舞台が一ヶ所だけという、ワンシチュエーション映画です。

ワンシチュエーション映画には、『12人の怒れる男』という名作があります。

三谷幸喜の作品にもワンシチュエーションでの傑作がいくつかあります。

それらと比べても遜色のない作品です。

1950年代のシカゴの紳士服店の主人が主人公です。

どんでん返しの展開があり、『やられた』感を味わえるのですが、魅力は決してそれだけではありません。

主人公の職人としての態度や身のこなし、知性も感じさせながら、飄々とした感じが仄かにあって、私には魅力に感じました。

最後のセリフ、完璧を目指さなければならないが、完璧は無理で、折り合いをつける必要がある、そういうときはどうするか。

『作業台に道具を並べて、やり直せばいい』

映画を見ないとこの言葉は普通の言葉ですが、この映画の最後、この主人公が呟くとき、洒脱さまで感じられます。

内容に踏み込むと、どんでん返しのネタをばらすことになりますから控えますが、面白い作品であることは確かですし、決して褒められた行状ではないにしろ、人生の対処のやり方を教わったような気にもなる作品で、おすすめです。

 

 

映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』


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全く期待してなかった作品でしたが、予想をいい意味で裏切ってくれました。

このシリーズは全部観ていて、一応ディスクも全部揃えているものの、思い入れがあるわけでもなく、ちょっとした娯楽作品のひとつに過ぎませんでした。

特に今回は主役のハリソン・フォードが80才でアクション映画はさすがに無理があると思っていて、期待度は0でした。

しかし、見せ方がうまく、完結編にふさわしい終わり方です。

むしろ、シリーズの中で最も好きかもしれないほど、ラストに感動しました。

この感慨は、たぶん、ひとつの時代が終わったという感慨でしょう。

あの、モテモテで人気の大学教授のインディ・ジョーンズを見てきたものとしては、年老いて子供を失い妻にも捨てられ職も定年になって悲哀感漂うインディ・ジョーンズは衝撃ですが、ラストで救われました。

ヒトラーの時代へのつもりがアルキメデスの時代になって、そこにとどまる決意をした心中はよくわかる気がします。

その決意でのラストはそれなりに美しいとも思います。

私でもそこにとどまる決意をしたでしょう。

うらさびれた現世に引き戻されるよりは。

そういうラストでも私はよかったと思います。

 

ラスト、ベランダに干してある帽子を取る演出は心憎いばかりです。

あの帽子はインディ・ジョーンズの象徴です。

あの帽子をかぶって、インディ・ジョーンズは再び探求の冒険に出るでしょう。

その冒険は運命のダイヤルを使った時空への旅ではなく、運命のダイヤルを使わない時空への旅でしょう。

 

この完結編によって、インディ・ジョーンズ シリーズ全部が素晴らしいシリーズになったと思います。

映画『オペレーション フィナーレ』


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映画『オペレーション フィナーレ』は、ホロコーストの首謀者と言われた元ナチス幹部アドルフ・アイヒマンを逮捕し、イスラエルの裁判にかけたモサドの活躍を描く作品です。

実話です。

物語は淡々と進み、特に大きな抑揚もありませんが、諜報員マルキンとアイヒマンの交流など意外と見所がある作品となっています。

600万人ものユダヤ人の命を奪ったホロコースト、その首謀者逮捕にかけるモサドのメンバーたち、アルゼンチンに逃亡しているアイヒマンやそれを支援したり反ユダヤを掲げる人たち、全体的に抑制の効いている映像だけに余計緊迫感が伝わってきます。

 

 

さて、このアイヒマン逮捕劇は、世界中に衝撃を与えました。

これについて、様々な論評があります。

 

※※※※※

ここでは具体例として、哲学者・ハンナ・アーレントの「悪の陳腐さ」というキーコンセプトを紹介します。

ナチスドイツによるユダヤ人虐殺計画において、600万人を「処理」するための効率的なシステムの構築と運営に主導的な役割を果たしたアドルフ・アイヒマンは、1960年、アルゼンチンで逃亡生活を送っていたところを非合法的にイスラエルの秘密警察=モサドによって拿捕され、エルサレムで裁判を受け、処刑されます。

このとき、連行されたアイヒマンの風貌を見て関係者は大きなショックを受けたらしい。それは彼があまりにも「普通の人」だったからです。アイヒマンを連行したモサドのスパイは、アイヒマンについて「ナチス親衛隊の中佐でユダヤ人虐殺計画を指揮したトップ」というプロファイルから「冷徹で屈強なゲルマンの戦士」を想像していたらしいのですが、実際の彼は小柄で気の弱そうな、ごく普通の人物だったのです。しかし裁判は、この「気の弱そうな人物」が犯した罪の数々を明らかにしていきます。

この裁判を傍聴していたハンナ・アーレントは、その模様を本にまとめています。この本、主題はそのまんま『エルサレムのアイヒマン』となっていてわかりやすいのですが、問題はその副題です。アーレントは、この本の副題に「悪の陳腐さについての報告」とつけているんですよね。

「悪の陳腐さ」……奇妙な副題だと思いませんか。通常、「悪」というのは「善」に対置される概念で、両者はともに正規分布でいう最大値と最小値に該当する「端っこ」に位置付けられます。しかし、アーレントはここで「陳腐」という言葉を用いています。「陳腐」というのは、つまり「ありふれていてつまらない」ということですから、正規分布の概念をあてはめればこれは最頻値あるいは中央値ということになり、われわれが一般的に考える「悪」の位置付けとは大きく異なります。

悪の本質は「受動的」であること

アーレントがここで意図しているのは、われわれが「悪」についてもつ「普通ではない、何か特別なもの」という認識に対する揺さぶりです。アーレントは、アイヒマンが、ユダヤ民族に対する憎悪やヨーロッパ大陸に対する攻撃心といったものではなく、ただ純粋にナチス党で出世するために、与えられた任務を一生懸命にこなそうとして、この恐るべき犯罪を犯すに至った経緯を傍聴し、最終的にこのようにまとめています。曰く、

「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と。

そのうえでさらに、アーレントは、「陳腐」という言葉を用いて、この「システムを無批判に受け入れるという悪」は、われわれの誰もが犯すことになってもおかしくないのだ、という警鐘を鳴らしています。

別の言い方をすれば、通常、「悪」というのはそれを意図する主体によって能動的になされるものだと考えられていますが、アーレントはむしろ、それを意図することなく受動的になされることにこそ「悪」の本質があるのかもしれない、と指摘しているわけです。

※※※※※

 

ニューヨークタイムズ 世界の話題更新日: 公開日:
ナチス・ドイツによるユダヤ人抹殺の計画立案者アドルフ・アイヒマンの裁判から55周年を記念するイスラエルの式典に参加したラフィ・エイタン=2016年1月27日、エルサレムの大統領公邸、ロイター。情報機関モサドの実行部隊を指揮してアルゼンチンに潜んでいたアイヒマンを拉致し、イスラエルに連行した。

アルゼンチンに潜んでいたナチス・ドイツの戦犯アドルフ・アイヒマンを捕まえたイスラエルの実行責任者ラフィ・エイタンが2019年3月23日、テルアビブの病院で亡くなった。92歳だった。

情報機関モサドの部隊を指揮し、アイヒマンを拉致して本国に連行した。ユダヤ人を強制収容所に送り込んで抹殺する「最終解決」の計画立案者という大物だっただけに、世界をあっと言わせた。他にも数多くのイスラエルの工作活動で手柄を立てたとされ、母国では伝説的な存在になっていた。

「まさに、わが国の情報機関が生んだ英雄の一人だった」とイスラエルの首相ベンヤミン・ネタニヤフは、その死を惜しんだ。

エルサレムで裁判に臨むアイヒマン。被告席は防弾ガラスに囲まれていた=1961年4月18日、ロイター。61年4月11日に初公判が開かれ、半年後に死刑判決が下された。翌62年6月1日、絞首刑が執行された

米国の中央情報局(CIA)にあたるモサドに、アイヒマン拘束の端緒となる情報がもたらされたのは、西独(当時)の検察官からだった。

若いドイツ人女性が、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでニコラス・アイヒマンという若い男性と友達になった。郊外に住み、父親はリカルド・クレメントという別名を名乗っている――とのことだった。

張り込みの結果、その人物は毎日、バスで仕事から帰宅していることが分かった。エイタンの部隊は、アイヒマンらしいと判断した。

1960年5月11日、実行に移った。立ち往生した車を、何人かで直しているように見せかけた。バスから降りたその人物に、機を見て飛びかかった。

「私は思いっきり首を絞め上げた。眼球が飛び出しそうになるのが分かった」とエイタンは、その瞬間を振り返っている。「もう少し力を入れていたら、死んでいたかもしれない」

車に連れ込んで3マイル(4.8キロ)離れた隠れ家に向かい、身柄を7日間とめ置いた。問い詰めると、アイヒマンであることを認めた。

「こちらが(訳注=確証がないために)どれだけ神経質になっているかを悟られないようにするのに苦労した」とエイタンは後に明かしている。「悟られれば、なんとかできるかもしれないという希望を相手に与える。それは、絶望的な状況にある人間を危険な存在にしてしまう。だから、まったくの無力感を味わうようにさせる必要があった。同胞たちが、そいつによって貨物列車で死の収容所に送り込まれたときのように」

さらに、本国に連行せねばならなかった。

イスラエル国営エル・アル航空の乗務員の制服を着せた。無理やりウイスキー1本を飲ませ、フラフラにして二日酔いの客室乗務員のように見せかけて出発便に乗せた。本物のエル・アル乗務員が1人ブエノスアイレスに残り、搭乗名簿と食い違いが生じないようにした。

エイタンの部隊は、ナチスの重要戦犯がまだアルゼンチンにいることを知っていた。収容所のユダヤ人に人体実験を繰り返した「悪魔の医師」ヨーゼフ・メンゲレだ。しかし、エイタンは、メンゲレを拘束する動きはすべて凍結させた。アイヒマンの身柄確保に集中するためだった。

この拉致事件をアルゼンチン政府は、主権の侵害であり、国際法に反すると非難した。しかし、ホロコーストを生き延びた人々は、深い満足感を示し、正当であるとみなした。

アイヒマンは、エルサレムで裁判にかけられた。ナチス・ドイツによる組織的なユダヤ人大量虐殺の実態に、改めて世界の耳目が集まった。そして、人道に対する罪で有罪とされ、62年に絞首刑に処せられた。

恩赦を求めるアイヒマン直筆の嘆願書=2016年1月27日、ロイター。死刑執行間際の1962年5月29日の日付がある。裁判から55周年のイスラエルの式典で初めて公開された ●提供元キャプション(説明文1)

その処刑室で、エイタンはアイヒマンと話した――英作家で調査報道にも携わったゴードン・トーマスは、95年に出した自著「Gideon's Spies: The Secret History of the Mossad(邦題「憂国のスパイ――イスラエル諜報(ちょうほう)機関モサド」)の中でこう書いている。

「アイヒマンは自分を見て、『おい、ユダヤ人。私の後に続くときが来るからな』と言った。私は、こう答えてやった。『でも、今日ではないよ、アドルフ。今日ではない』と」

(なお、アイヒマンの拘束は、2018年に米国で映画化された。「Operation Finale〈邦題:オペレーション・フィナーレ〉」の中で、エイタン役をニック・クロールが演じている)

エイタンは1926年11月23日、当時の英委任統治領パレスチナで生まれた。両親は、3年前にロシアから移住してきたシオニスト(訳注=ユダヤ国家の現地再建を目指す運動の信奉者)で、テルアビブに近い小さな入植地で暮らしていた。まだ10代にも満たないのに、エイタンはアラブ人の攻撃から入植地を守るために、現在のイスラエル軍の前身であるハガナーに入った。やがて、その精鋭部隊パルマッハに引き入れられた。

ユダヤ人は、自治を求めて英国に圧力をかけた。エイタンの最も危険な任務は、現在のイスラエル北部・カルメル山にあった英軍のレーダー施設を爆破することだった。そのためには、下水道を伝って動かねばならず、後で「臭いラフィ」のあだ名が付くようになった(もう一人の「ラファエル・エイタン」と区別するためで、こちらはイスラエル国防軍の参謀総長にまでなった)。エイタンはさらに、ナチスによって迫害されたユダヤ人難民をパレスチナに密航させることにも深く関わった。

イスラエルの建国に伴う1948年の第1次中東戦争で、エイタンは2度負傷した。戦場で動き回るのが困難になったと上官に報告すると、諜報部隊に組み込まれた。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学位を取った時期もあったが、工作員としての歩みはこのときから始まった。

アイヒマンの拘束以外にも、エイタンは多くの工作活動に関わった。72年のミュンヘン五輪でイスラエルの選手多数がパレスチナのテロ組織に殺害されると、報復の暗殺作戦に携わった。「対テロ戦争の原則は、原則なしに遂行することにある」とエイタンは2010年にイスラエルの有力紙ハアレツに語っている。「ただ、戦いあるのみなのだ」

アイヒマン裁判から55周年のイスラエル大統領主催の記念式典に参加したラフィ・エイタン(後列左から2番目)=2016年1月27日、エルサレムの大統領公邸、ロイター。当時の捜査担当者らもこの式典に招かれた

イスラエルは、イラクが核開発を始めたと見て、81年に問題の原子炉を爆撃した。ここでも、エイタンは暗躍した。

大きな外交問題に発展したのは、友邦・米国へのスパイ活動だった。米海軍情報分析官のジョナサン・ポラードが、85年に逮捕された。何千もの機密文書をイスラエルに流していたとの容疑を認め、終身刑の判決を受けた(30年後の15年に仮釈放された)。

イスラエル側は当初、モサドの勇み足ということで収めようとした。しかし、当時の首相シモン・ペレスは、正式に謝罪する事態に追い込まれた。そして、前任首相メナヘム・ベギンのテロ対策顧問となってから、ポラード工作の直接の責任者を務めていたエイタンを米国務省が尋問することを認めざるをえなかった(エイタンは後に、「きちんと許可を得て、権限を確保した上でのことだった」と報道関係者に漏らしている)。

先の英作家トーマスによると、エイタンは英国の対外情報機関MI6にテロ対策で助言する秘密顧問になったこともあった。ジブラルタルにいたアイルランド共和軍の爆弾テロ細胞をモサドの工作員が追跡するのを手伝い、最終的には英特殊部隊がこの細胞を葬り去ったとしている。

エイタンは、ポラード事件を受けて、諜報活動からはずされた。代わりに、イスラエル国営の化学薬品・肥料メーカーの経営を任され、93年に67歳で退くまで務めた。

しかし、完全に仕事から引退したわけではなかった。キューバで大がかりな営農・建設事業に取り組んだ。情報機関の幹部によく見られるように、政界にも打って出た。06年のイスラエル総選挙では、年金受給者の党「ギル」の党首として7議席を獲得。短い間だったが、年金担当の閣僚にもなった。

意外な側面も持ち合わせていた。彫刻を趣味としていたことだ。30年余にわたって、100を超える作品を作った。

しかし、その頭脳の明晰(めいせき)さが存分に発揮されたのは、何といっても工作活動だった。(抄訳)

(Joseph Berger)©2019 The New York Times

※※※※※

 

映画『ジャスト・ア・メリークリスマス』


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ノルウェー人の女性が婚約者のインド人男性といっしょに

ノルウェーの実家に帰ってクリスマスを過ごす物語です。

 

ノルウェーとインドの文化や風習の違いがコミカルなタッチで描かれています。

実話らしく、最後に本人たちが登場します。

 

いろいろな国があり

いろいろな民族があり

いろいろな宗教があり

いろいろな風習があり

 

しかし

何があっても

何がなくても

とりあえず今日は

メリークリスマス!

 

映画『マエストロ:その音楽と愛と』


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レナード・バーンスタインを描いた映画です。

最初は陳腐な恋愛映画のようで、フェリシアとの出会いや結婚のくだりが延々と続く感じで期待外れかなと思っていました。

妻のフェリシア役は、キャリー・マリガンです。

『華麗なるギャツビー』などでもその可愛さは際立っていますので、注目している女優さんです。

若い時の可愛さ、可憐さだけでいくと、ひょっとすると、メグ・ライアンのようにそこから脱皮できずに終わるのではないかと危惧していましたが、見事に本格的な女優らしさを見せてくれました。

癌闘病の時の演技も出色です。

素晴らしい女優さんになったと思います。

 

この映画で私が何より感動したのは、バーンスタインがマーラーの交響曲第2番復活を指揮している場面です。

もちろん、私がマーラーのファンで、特に落ち込んだ時に復活の最終楽章を繰り返し聴いていたという特別の想いもありますが、この演技は神がかっています。

1974年の演奏を再現したのでしょう。

実際の映像は次の動画の一番最後です。

映画と実際を見比べるのも面白いです。

 


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この演奏の前に、バーンスタイン夫婦は大喧嘩をします。

妻のフェリシアは夫に、『あなたの演奏は観客みんなに憎しみをぶつけているんだ』と言い放ちます。

 

しかし、このマーラーの復活の演奏が終わったとき、妻は『間違ってたわ。あなたの心に憎しみはない』と言ってくれます。

 

このシーンだけでもこの映画が素晴らしいと断言できると思います。

 

バーンスタインは同性愛者でした。

それを隠そうともしませんでした。

それにより、妻は深く傷つきますが、マーラーの復活という音楽の力は、『復活』をもたらしたのかもしれません。

 

映画『コンカッション』


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一人の、名もない、ナイジェリア出身の黒人医師が、米国で圧倒的に人気のあるアメリカンフットボールが脳に与える深刻な影響を告発した作品です。

 

これは、これから日本でも大きな問題になるのではないかと思います。

 

スポーツによる脳震盪の恐ろしさが初めてわかりました。

キツツキは脳が舌骨で護られているために脳震盪を起こさないのですが、

人間の脳は液体でしか保護されてなく、極めて不安定で衝撃に弱いらしいです。

この映画では、アメリカのプロスポーツのアメリカンフットボールでの深刻な脳震盪を取り上げていますが、ラグビーやサッカー、格闘技なども脳震盪を起こしやすいスポーツです。

 

プロスポーツが人気の競技は、小中高校でもする人は多いでしょう。

 

度重なる脳震盪が原因の慢性外傷性脳症(CTE)の恐ろしさは、死亡した後解剖しなくてはわからないということらしいです。

 

40台でうつ病を発症して自殺する例が相次いで、死後解剖の結果、CTEと判明した事例が出てきますが、日本ではうつ病を発症しての自殺だと事件性がないので解剖はしないでしょう。

このように、本当の原因が闇の中に消えていった例がかなり多いのではないかと感じました。

 

プロスポーツ選手が早死するケースは多いです。

これから、日本でも社会問題になるのではないでしょうか。

 

一富士二鷹三茄子

 

小さいとき、漫画で、初夢で縁起がいいのは『一富士二鷹三茄子』とありました。

富士山が縁起のいいのは何となくわかりましたが、茄子の夢が何故縁起がいいのかさっぱりわかりませんでした。

この3つに共通するものは何もないように思えました。

この言葉には続きがあります。

 

『四扇五煙草六座頭』です。

ここまで来ると何が何だかさっぱりわかりません。

扇は末広がりだから縁起がいい、煙草は煙が上に上がるから縁起がいい、座頭は坊主頭なので毛がない=怪我ないので縁起がいい、というこじつけ解釈が横行してます。

 

実は、これらはすべて、徳川家康が愛したものです。

江戸時代に、神君家康にあやかって出世する夢を見たいということから、これらを初夢で見ると縁起がいいことになったのでしょう。

 

1、富士山は家康が大御所として居を構えた駿府の象徴です。

2、家康は鷹狩りを好んでしていました。お気に入りの鷹を大事にしていました。

3、茄子は家康の好物であり、漢方薬膳としても大切にしていました。

  駿河で穫れた初茄子が毎年将軍家に献上されたくらい茄子は名産品でした。

4、家康の馬印は金扇でした。

5、家康が日本で最初に宣教師から煙草の種をもらったと言われています。

  家康は煙草を薬として奨励しました。

  そして、江戸時代には煙草は大流行しました。

  農家が儲かる煙草ばかり栽培して米を作らなくなったので、煙草栽培禁止令まで出ました。

6、盲目の人(座頭)を、家康は鍼灸や琵琶法師の専門職につかせる制度を作りました。

  江戸時代、座頭市などが大活躍する物語はこの制度のおかげです。

 

 

 

初夢の謎が解けたとき、スッキリしたことを覚えています。

江戸時代には、家康は神君として、出世、繁栄の象徴だったのでしょう。

 

 

 

映画『マーシャル 法廷を変えた男』と『グレイス 消えゆく幸せ』


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映画『マーシャル』は、アメリカ史上初の黒人最高裁判事となったマーシャルが主人公の裁判映画です。実話です。

黒人弁護士の活躍と言えば、『黒い司法』が思い出されますし、黒人初の最高裁判事となったマーシャルの裁判映画なので、期待して観ましたが、『黒い司法』のような感動は得られませんでした。

これは、両作品の主人公の人柄の描き方の違いだと思います。

『黒い司法』の弁護士は、誠実でひたむきなところがにじみ出ていましたが、マーシャルにはそういうところは感じませんでした。

むしろ、民事しかしたことがない駆け出しの白人弁護士の、最初の頼りなさから徐々に自信をつけていって成長していく姿の方がほほえましくおもえました。

上流階級の妻が、召使の黒人男性にレイプされたと言って訴えた事件の映画です。

犯人の黒人は『指一本触れてない』と断言しますが、不利な証拠が続々と出てきます。

被害者女性が語ることや救助されたときの状態は、黒人容疑者が語ることとはあまりに乖離しています。

その乖離はどこから来るのか、これがこの作品の見どころで、真相を聞くと納得し、なおかつ、真相を隠さなければならないほど黒人差別が酷かったのか、ということに気が付くことになります。

 

 

 


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『グレイス 消えゆく幸せ』

夫殺しの罪を認めている黒人女性と女性弁護士の映画で、弁護士事務所の所長が司法取引で裁判を回避したい意向なのに(アメリカでは殺人という重大な刑事事件であっても裁判を回避した司法取引ができるらしい)裁判に勇敢に挑んだという裁判映画だとばかり思っていました。

確かにラスト20分まではそのように進むのですが、どんでん返しが待っていました。

裁判映画としては、主人公の女性弁護士があまりにも無能で初歩的なミスだらけで、証人選定も致命的なミスを犯し、まるで勝負にもならない展開で、『???』でした。

第一、被告人自身が自分が夫を殺したと認めているのですから、どのような意外な展開にもならないはずでした。

 

しかし、このどんでん返しは凄かったです。

筋的には前半、かなり破綻している箇所があるのですが、ラスト20分までの作品としての様々なほころびを考慮しても、ラスト20分の全く予想しなかった結末に『まいった』という感想です。

これを実話と書いているサイトもありましたが、実話かどうかははっきりしません。

実話であれば怖ろしすぎます。

 

『どうする家康』について

 
 
 ねこまる (180.199.17.9)  
ショーシャンクさん、おはようございます。
ショートストーリーのお話、ご紹介ありがとうございます。
今回は「音」がテーマだったんですね。
前にご紹介いただいた、ご家族からのギフトの話も温かかったです。
ショートストーリー、ぜひまた再開してほしいですね。
なかなか投稿ができず、申し訳ありません。
毎日を、浮いたり沈んだり、低空飛行で過ごしています。
 
ついに今週末、大河ドラマ『どうする家康』が最終回を迎えますね。
前回のお話で、豊臣秀頼が戦うことを決意し、それが家康側に伝わった最後のシーン、家康がお経のようなものを書いており、最後に『南無阿弥家康』と書き、「乱世の亡霊よ、さらば」と言っていました。
このシーンを見て、ショーシャンクさんが仰っていた、大きく成長した秀頼に二条城で再会した家康の話を思い出しました。
昔の大河ドラマ『真田丸』のときは、茶々(竹内結子)が、真田幸村が作った真田丸を壊すのを指示し、まるで死を望んでいるような描写に違和感がありました。
それに対して、今回のストーリーは、違和感がないように思いました。
武田信玄が長篠の戦いまで生きていれば、本能寺の変が起きなければ、真田昌幸が大阪の陣まで生きていれば、江戸幕府含め未来は違っていた、偶然のようで最初から未来は決まっているような、不思議な気持ちになりました。
ショーシャンクさんには、どのように映ったでしょうか。

 

 

ねこまるさん、こんにちは。

今年も大河ドラマが終わってしまう時期を迎えましたね。

今年の『どうする家康』も途中リタイアせずに全部見ました。

もともと筋書きに無理がありすぎるドラマだったので、最後まで文句言いながら見ることになりそうです。

家康が晩年、毎日『南無阿弥陀仏』とひたすら念仏を書き連ねていたエピソードをこのドラマは採用していて、それはよかったと思いました。

このエピソードを取り入れたドラマは今までなかったように思えますから。

何ヶ月前かにも書きましたが、家康は豊臣秀頼が立派で頭も切れる若者だったことに愕然とします。

女性ばかりに囲まれて過保護に育てられた馬鹿殿というもっぱらの噂でしたから。

秀頼が噂どおりの阿呆であれば、家康は、領地を替えて一地方の小大名として生かせておいたはずです。

何せ、家康は豊臣秀吉に臣下の礼をしていますし、『秀頼を頼む』という秀吉の遺言を了承したのですから。

約束したのに秀頼を殺しては、一大悪人になってしまうリスクがありました。

しかし、家康の後継者の秀忠は、関ヶ原に間に合わなかったとんでもない凡人、無能の者です。秀忠の長男の家光も化粧をして母親の江からも家臣からも跡継ぎには相応しくないと思われていた子供です。

それに比べ、秀頼は体格も態度も堂々としており、受け答えも頭の良さが分かる切れ味でした。

家康は暗澹たる気持ちになったでしょう。

 

時間は圧倒的に豊臣家の味方です。

家康は75歳、秀頼は20歳。

家康はその時代の平均寿命よりずっと年を取っています。

いますぐ死んでもおかしくありません。

それに比べ、秀頼は、これからどんどん経験を積み成長していって立派な武将になる年齢です。

『御所柿は 独り熟して落ちにけり 木の下にいて拾う秀頼』の狂歌があるように、誰もがそう思っていました。

秀頼は、家康が死ぬのを待てばいいだけだったのです。

跡継ぎはぼんくらの秀忠ですし、その奥さんの江は淀君と姉妹です。

さらには、秀頼の妻は、秀忠と江の娘の千姫です。

家康が死ねば、秀忠は秀頼にも敬意を払い、両立させるように計らうでしょう。

 

ですから、『どうする家康』の脚本のように、方広寺の鐘の銘文に豊臣家がわざと呪詛したものを入れて問題を起こすわけがありません。

これは、徳川が、とんでもないいちゃもんをつけて秀頼を殺そうとした策略以外の何ものでもありません。

とんでもない言いがかりをつけて揉め事を起こすのはヤクザのやり方ですね。

そこまでして、秀頼を殺さなければならなかったのです。

 

また、前回の『どうする家康』のように、淀君は戦をしなくてもいい、秀頼に任せると言って、秀頼が自ら先頭に立ち戦をする決断をするというシナリオは、史実と違います。

本当にそうであれば、豊臣が勝つチャンスは非常に高かったでしょう。

事実は、大坂冬の陣夏の陣で、豊臣秀頼が先頭に立って戦をしてほしい、そうすれば勝てるという場面がいくらでもあり真田幸村などが秀頼の出馬を懇願しましたが、淀君が頑として拒否したのです。

冬の陣で大砲を撃たれてびびってすぐ戦をやめたのは淀君です。

 

戦をするのであれば、秀頼に先頭に立たせる覚悟、そして城とともに討ち死にする覚悟が必要ですし、大砲でびびってやめるのであれば、最初から戦などせず、地方の小大名で生き残る覚悟が、淀君に必要でした。

 

秀頼は先頭に立つ気はあったと思いますが、淀君の愚かさが豊臣家を滅ぼしたと思います。

淀君に実権があったことが最悪でした。

 

家康は自分の年齢のことを考え、明らかに焦っていました。

豊臣側は、時間稼ぎをすればよかっただけです。

お金をなるべく使わず、いちゃもんをつけられるようなことを一切しなければよかったのです。

しかし、淀君は寺社を建立しまくったり、大量の浪人を抱えたりして、膨大な出費をしていました。

お金を使うのであれば、天皇や朝廷にお金を配って、家康が無理な言いがかりをつけてきたときに調停してもらったりできるようにすればよかったのです。

勅許や院宣を全く無視することは、豊臣家がまだ力を持っている時代の徳川家にはできませんから、時間稼ぎには十分なりました。

頭が切れて交渉がうまい人を取り立てればよかったのです。

 

家康が『南無阿弥陀仏』のところを、『南無阿弥家康』と書いた箇所があるのは事実です。

この真意は分かっていません。

このドラマのように、最後に『南無阿弥家康』と書いた訳ではなく、途中で6ヵ所くらい書いています。

ですから、書き間違いの可能性が高いですが、そんな書き間違いするかな、という疑問はあります。

 

ショートストーリーなくなった?

お歳暮の季節になりました。

しかし、アサヒビールのギフトセットの箱の中に、今年はショートストーリーの紙が入っていませんでした。

今年もお中元のときは入っていて、このブログでも紹介しましたが。

特に、去年のお歳暮の綿矢りさのショートストーリーが秀逸だったので、毎回楽しみにしていたのですが。

残念です。

今年のを載せることができませんので過去のショートストーリーを載せます。

この作品も、ビールの缶を開ける音を記憶の旅の出発を告げる号砲に見立てていて秀逸だと思った文章です。

 

 

映画『終わらない週末』


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配信されたばかりのNetflixの映画『終わらない週末』を観ました。

 

配信されたばかりなので、観た人の反応はわかりませんが、多分、ラストシーンが賛否両論でしょう。

8割くらいの人が、このラストシーンに文句を言うでしょうね。

ごく少数の人が絶賛するでしょう。

私は、このラストシーンは素晴らしいと感じました。

 

キャスティングもNetflixらしく豪華で、やはり、ジュリア・ロバーツが主演すると映画が引き締まります。

『グリーンブック』のマハーシャラ・アリはさすがアカデミー賞俳優だけあって安定の演技です。

しかし、不審な真夜中の訪問者ということでもう少しハラハラが楽しめるところでしたが、映画の裏事情が分かっている人なら、黒人ということと、マハーシャラ・アリということで、『悪人役ではない』ことが最初から見通せるので、ハラハラはないことでしょう(笑)

 

ジョージ(マハーシャラ・アリ)のクライアントで、国防省と取引がある超大物実業家とは、イーロン・マスクのことでしょう。

テスラの全自動運転車が、制御不能となって、次々と衝突していって道路をふさぐシーンは、大型タンカーの海水浴場座礁と同じく、印象に残るシーンです。

 

イラン、中国、北朝鮮と推測される攻撃主体の名前が次々と挙がり、アメリカ政府内部ということも匂わしたまま、唐突にラストシーンになります。

 

スッキリしない人もかなり多いとは思いますが、私はとにかく楽しめました。